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第四章「誓いの夜」【23】

「ニダロに渡した物と同じ薬です。もちろん、ニダロとあなたでは体の大きさが違いますから、一回ずつの量は彼のよりも減らしてあります。一回につき一包みを飲んでください。決してそれ以上は飲まないでください。飲みすぎると二度と目を覚ますことができなくなりますからね。」
「ありがとう、ユレイス、助かるわ。それから、このことはみんなには黙っていてね。特にマレアには。あの子にそんな心配かけたくないのよ、お願いね。」
「わかりました。このことは二人の秘密にしておきましょう。」

イオニーネは袋を受け取り、この馬から立ち去りました。ユレイスは薬草の袋を全て片付け、再び刀の手入れに没頭しました。

               

ヤスブ一行はなだらかな山道を登っていました。はじめのうちは快晴の空の下、気分よく歩を進めていましたが、次第に大きな岩が見られるようになりました。やがて道は崖に挟まれ、その幅も狭くなっていきました。それでも天候に恵まれているうちは問題ありませんでした。しかし、山は表情を変え、ヤスブ一行に雨と風をもたらしました。ぬかるみに車輪を取られ、風にあおられた馬車は前へ進めなくなってしまいました。仕方なく彼らはその場にとどまり、雨と風が治まった頃には半日以上の遅れが出ていました。そこから再び歩を進めると、道幅は広くなり、彼らの右手にそびえ立っていた崖も徐々に消えていきました。しかし山道の勾配は急になり、馬たちの疲労も激しくなってきました。いよいよ馬も動けなくなり、日没前でしたが彼らは野宿せざるを得ませんでした。夜になると再び雨と風が激しくなりました。見張りをしていたアクベイはこの先の道を見つめ、進路が塞がれるのではないかと心配になりました。果たしてそれは現実となり、彼らの目の前には土砂と岩、そして大木が辺り一面を覆う光景が広がっていました。ここには迂回する道もなく、彼らは途方に暮れました。今から引き返して別の道を探す手もありますが、それでは少なくとも十日は無駄になります。五百人の遊牧民が迫る中、そのような時間の余裕はありませんでした。ヤスブはここで決断しました。
「馬と馬車が通れるように土砂と大木を取り除こう。ここで後戻りをしていては十日の遅れが出る。だから九日間でやり遂げよう。全員で協力してかかればできないことはないはずだ。イオニーネとマレアにも手伝ってもらうぞ。」
一行はすぐさま作業にとりかかりました。複雑に倒れこんだ木々を移動させ、うず高く積もった土砂を掘り起こし、馬車が一台通れるだけの道を造っていきました。途中、彼らが気をつけなければならなかったのは、再び雨で土砂崩れが起きないようにすることでした。もしそうなったら今度は自分たちまで生き埋めにされてしまうかもしれないからです。自分たちよりも高い位置にある土の壁を木で押さえて固めながら、慎重に前進していきました。顔に水滴が当たるたびに彼らは肝を冷やしました。しかし幸いなことに、霧によって視界が悪くなったことを除いて、天気が荒れることはありませんでした。土砂で塞がれた距離が比較的短かったことも彼らに味方し、作業は八日間で終了しました。彼らの疲労は頂点に達していましたが、休んでいる暇はありません。彼らは馬を下り、徒歩で山道を進みました。眠い目をこすりつつ、せめてこの山だけでも越えようとしていました。睡眠時間を極力短くして、彼らは先を目指しました。やがて道幅が広がり、地平線が彼らの目の高さまで下がってきました。ようやく山を越えたのだと安堵しかけた時、彼らは見てはならないものを発見したのです。既に道は平坦になり、その左右には草原が広がっています。そしてその草原の上を馬に乗って走っている者たちがいました。彼らは道の左右、ヤスブ一行を挟むように併走していたのです。彼らはみんなそろいのマントを羽織り、毛皮でできた大きな長靴を履いています。

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