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第一章「初恋とカリスの実」【17】

ルイルとパティンは自分の耳を疑いましたが、キオの顔を見るとどうやら聞き違いではなさそうです。キオは本気でマレアを連れ戻そうと考えているのです。
「隣村まで行くの?!いつ行くんだよ?!」
「今すぐだよ、ルイル!明日になったらもう追いつけないよ!!マレアはバドに行っちゃうんだぞ。そんな遠くに行ったら、もう会えないよ!!」
「でも、連れ戻すって、どうやって?兵隊がいっぱいいるのに。」
「あいつらだって夜になれば寝ちゃうよ。その時にこっそりマレアを連れ出して、みんなの知らない所に隠れればいいんだ。そうしたら兵隊たちもあきらめるよ。」
パティンの質問にもキオは自信ありげに答えました。
「よし、キオ、行こう。マレアを取り戻すんだ!!」
ルイルはキオに同調したようです。初めは行きたくないそぶりを見せていたパティンも、最後はしぶしぶついていく事にしました。
「わかったよ。でも、もう真っ暗だから松明だけは持っていこうよ。」
家の物置からそれぞれ1本ずつ松明を持ってきた3人は、いよいよ隣村へ向けて出発しました。隣村とはラムラス村のことです。白森の村からラムラス村へ行くにはまず山道を下り、そして大きな森を抜けなければいけません。ただし村同士は一本道でつながっています。キオたちはそれを知っていたので、道なりに歩いていけばラムラス村に着けるとわかっていました。幸いこの日は空も晴れていたので、星明りだけでも周りの様子が見て取れます。ですから松明はそのまま持っていき、森に入ってから火を点けようという事になりました。子供たちは山道を元気よく歩いていきました。今から自分たちはマレアを助け出すのだという気持ちになり、少し興奮しているようです。時に早足になったり、走ってみたりもしました。3人は快調に山道を降りていきました。そして目の前には次第に暗く大きな森がキオたちの視界に広がっていきました。

                 

一方、子供たちのいなくなった白森の村は大騒ぎになっていました。キオたちが夕食の時間になっても姿を現さないのです。彼らの両親たちはまずサグ家へと向かいました。そこにはデムとミロア、シノンの3人が寂しく夕食をとっている最中でした。ゴルは彼らに、自分たちの息子がいなくなった事を伝えました。するとシノンが、夕暮れ時まで彼らと一緒だった事を告げました。その事はミロアも見ています。ミロアはキオたちに家に帰りなさいと言って、そこで別れたと言いました。その場所が村の門の近くであることもゴルたちは聞きました。そこにいる一同はみな同じ事を考えていました。それを一番に口にしたのはシノンでした。
「みんな、きっとお姉ちゃんの所に行ったのよ!」

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