« 第一章「初恋とカリスの実」【10】 | トップページ | 第一章「初恋とカリスの実」【12】 »

第一章「初恋とカリスの実」【11】

デグジン村長は自分の家に戻りました。そして自分の帰りを待っていた村民たちにディスマン氏から聞いた話を伝えました。あの兵隊たちはバドのとある人物に雇われて来たという事。その目的はサグ家のマレアを養女として迎え入れ、バドまで連れて行くという事です。それを聞いた村民たちは物騒な話ではなかったのでホッとした反面、マレアを知っている者にとっては複雑な心境でした。キオの父ゴルもマレアとは子供たちと仲良くしている少女としてよく知っています。これを聞いてあの子たちはどう思うだろう、その事がゴルを少し困らせました。

                 

キオとルイル、パティン、シノンの4人はサグ家から少し離れた広場にいました。そこではシノンが今朝の出来事について話をしていました。「昨日の夜にディスマンさんの召使の人が家に来たの。明日の朝お父さんに用事のある人が訪ねてくるから午前の収穫は休んでいいって言われたの。それで今日になってあの人たちが家に来たのよ。」「最初からあの3人だけだったのか?」「そうよ、3人だけだったわ。」尋ねたのはキオです。マレアの元に来たのがあの3人だけだったとすれば残りの人たちはディスマン氏の館にいるはずです。ならばあの3人もまたディスマン氏の館に戻ったとわかります。「始めはお父さんとお母さんが話を聞いていたわ。私とお姉ちゃんは自分たちの部屋でいっしょにいたの。でも話し声が聞こえてきて、それでお姉ちゃんがいなくなっちゃうってわかったの。その後お姉ちゃんが呼ばれて、私は外に行ってるように言われたの。それからすぐにパティンの家にいったわ…。」シノンが少し間を空けたので、パティンが話を始めました。「シノンがいきなり走ってきて、マレアがいなくなるっていうもんだから最初は何がなんだかわからなかったんだけど、とにかくキオやルイルの所に行こうって事になって、それで急いでキオの家に行ったんだよ。」そこまでの話はわかりました。でもマレアは一体なぜ、そしてどこに連れて行かれるというのでしょうか。シノンもそこまでは聞いていませんでした。実際にはわからない事だらけだったのです。しばらくの間、重い空気が4人を包みました。「そうだ、うちの父さん話を聞きに行くって言ってた!」みんなの顔を見ながら叫んだのはルイルでした。そういえばキオも自分の父親がディスマン氏に話を聞いてくると言って家を出て行ったのを思い出しました。「僕の父さんもそう言ってた!もう帰っているかもしれない、行ってみよう!!」4人はとりあえず、キオの家に行くことにしました。

|

小説」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144927/7918522

この記事へのトラックバック一覧です: 第一章「初恋とカリスの実」【11】:

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)